その最終を飾るのが、当シリーズ初のジャズシンガー「ローズマリー・クルーニー」である。「ロージー」の愛称で親しまれた彼女は1928年のケンターキー州生まれ。17才でポピュラー歌手としてデビュー以来、高い人気を博し、1951年の「Come On-a My House=家においでよ」ではミリオンセラーの大ヒット。だが不幸にも体調を損ない1964年の来日公演時には発声困難となって、以来6年間もの入院闘病生活を強いられた。
そんな数々の名バラードを収めた1985年録音の「Rosemary Clooney/Sings Ballads」 は、現在でも名盤の呼び声が高い一枚である。このディスクではその中から最も広く親しまれている曲として「THE SHADOW OF YOUR SMILE=いそしぎ」と、「THE DAYS OF WINE AND ROSES=酒とバラの日々」 の2曲を収めた。
■品番:SSCDR-007
■JANコード:4571177053039
■仕様:CD-R
■限定生産
■制作:ユニバーサルミュージック合同会社
■企画・販売:株式会社ステレオサウンド
※本タイトルの記録メディアには録音の現場で使われているプロ用のCD-Rを使っています。CD-Rは、一般に、音楽ソフトとして販売されているディスクとは構造や仕様が大きくことなるため、お取り扱いには細心の注意を払っていただきますようお願いいたします。保管には、風通しのよい冷暗所が最適です。また、ディスク信号面、レーベル面ともに水濡れは厳禁。湿った状態で擦りますと、無地レーベル面ばかりか銀素材による反射層まで剥離してしまいます。水滴や汗などが付着した場合は、柔らかい布などで軽く押さえたのち、自然乾燥してください。この際、日光をはじめとする強い光にさらさないようお願いいたします。CD-Rは紫外線を嫌います。また、レーベル面にセロファンテープやステッカー、シールなどを貼らないでください。はがす際、レーベル面や保護層、ひいては反射層が破壊される可能性があります。CD-Rが通常の音楽CDにくらべてデリケートであることをご理解いただき、すばらしい音楽をいつまでもお楽しみいただけますよう、ご配慮をお願いいたします。
シリーズの最後を飾る名バラード。
「Rosemary Clooney/Sings Ballads」から2曲を厳選収録!
レコード会社にとってオリジナルのマスターテープ等は門外不出なので、それを自分の部屋で聴いてみるなど我々がいかに懇願しても無理な話。でもそれを、一度は自分のシステムで鳴らしてみたいと思うのがオーディオマニアというものだ。ステレオサウンドがそれに応えて取り組んだのが、マスターをそのまま業務用CD-R(スタジオ間などでの信号移送用に使う、極めて精度の高い特製品)に、1枚ずつ手作業で書き込んだ「フラット・トランスファー・シリーズ」だ。
これは2012年の「石川さゆり・風の歌/波の歌」に始まり、今回で13巻を迎える。だが残念ながら当シリーズは今回で終了。現在ではスタジオ間の信号移送も、ファイルによるPC送信が通常となったため、業務用CD-Rの生産はすでに終了しているからだ。
その最終を飾るのが、当シリーズ初のジャズシンガー「ローズマリー・クルーニー」である。「ロージー」の愛称で親しまれた彼女は1928年のケンターキー州生まれ。17才でポピュラー歌手としてデビュー以来、高い人気を博し、1951年の「Come On-a My House=家においでよ」ではミリオンセラーの大ヒット。だが不幸にも体調を損ない1964年の来日公演時には発声困難となって、以来6年間もの入院闘病生活を強いられた。
しかし1975年には見事に復活をなしたが、そのときはすでにポピュラー歌手ではなく、見事な歌唱力に熟年の魅力をたっぷり添えての、素晴らしいジャズシンガーになっていた。そして1977年からは「コンコード・レコード」に籍を置き、数々のヒット盤を生み出したのはご存じの通り。中でもバラードは得意中の得意であるとともに、ロージーの甘い含み声や、官能的な美声を存分に堪能させるものとして、多くのファンを魅了した。
そんな数々の名バラードを収めた1985年録音の「Rosemary Clooney/Sings Ballads」 は、現在でも名盤の呼び声が高い一枚である。このディスクではその中から最も広く親しまれている曲として「THE SHADOW OF YOUR SMILE=いそしぎ」と、「THE DAYS OF WINE AND ROSES=酒とバラの日々」 の2曲を収めた。
このアルバムが録音された1985年は、すでにデジタル時代だが、レコーディングはサンフランシスコのスタジオに於けるアナログ録音だ。したがってこの盤は、アメリカにおいて、そのオリジナルマスターテープから直接44.1kHz/24bitのデジタル信号に変換し、このファイルを東京・青山にあるユニバーサル ミュージックスタジオが受けとり、スタジオエンジニアがそのまま1枚ずつ手作業でCD-R盤に仕上げたものだ。
もちろん個人的にもロージーが歌うこれらの曲への思い入れは深く、長年にわたり市販CDのほかに、オリジナルのアナログ盤も愛聴しつづけた。だから小生にとっては、共に座右のディスクと言えるような存在だ。
もっとも、ロージーの歌を前記のように「甘い含み声や官能的な美声……」と表現すると、そんな面だけを売り物にする、セリフの聴きとれない巻き舌と近接マイクでの歌い方と思われそうだが、それは違う。甘い含み声や官能的な美声は事実だが、同時に彼女の歌はセリフのひとつ一つが実に美しく明快で心地いい。当然、マイクを舐め回すような歌い方ではなく、十分な声量と歌いまわしの巧みさにより、肉感のリアリティを味わわせるものだ。
ただし今回、一足先に出来たての当CD-Rを聴いてみると、ぼくの2枚の愛聴盤との間に、微妙ではあるが無視し難いリアリティの差が確かに存在することを、認めざるを得なかった。
今後はこのCD-R盤が、小生の座右のディスクとなりそうに思えた。
(なお、ロージーは74才を迎えた02年に、惜しまれつつも他界された)
作詞者:Paul Francis Webster
作曲者:Johnny Mandel
2. THE DAYS OF WINE AND ROSES 酒とバラの日々
作詞者:Johnny Mercer
作曲者:Henry Mancini