バレエ《マ・メール・ロワ》
Ma Mère l'Oye - Ballet
[1] 前奏曲
Prélude (Très lent)
[2] 第1 場:紡ぎ車と踊りと情景
1er Tableau: Danse du rouet et Scène (Allegro)
[3] 第2 場:眠りの森の美女のパヴァーヌ
2e Tableau: Pavane de la Belle au bois dormant (Lent - Allegro - Mouvement de Valse modéré)
[4] 第3 場:美女と野獣の対話
3e Tableau: Les Entretiens de la Belle et de la Bête (Mouvement de Valse modéré)
[5] 第4 場:おやゆび小僧
4e Tableau: Petit Poucet (Très modéré)
[6] 間奏曲
Interlude
[7] 第5 場:パゴドの女王レドロネット
5e Tableau: Laideronnette, Impératrice des pagodes (Mouvement de marche - Allegro - Très modéré)
[8] 終曲:妖精の園
Apothéose: Le Jardin féerique (Lent et grave)
[9] 海原の小舟
Une Barque sur l'océan (Très souple de rythme)
[10] 道化師の朝の歌
Alborada del Gracioso (Assez vif)
スペイン狂詩曲
Rapsodie espagnole
[11] 第1 曲:夜への前奏曲
Prélude à la nuit (Très modéré)
[12] 第2 曲:マラゲーニャ
Malagueña (Assez vif)
[13] 第3 曲:ハバネラ
Habanera (Assez lent et d'un rythme las)
[14] 第4 曲:祭り
Feria (Assez animé)
[15] ボレロ
Boléro (Tempo di Bolero moderato assai)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
Berliner Philharmoniker
指揮:ピエール・ブーレーズ
Conducted by Pierre Boulez
[録音]1993 年3 月18 日~25 日、ベルリン、イエス・キリスト教会
[初出] Deutsche Grammophon 4398592(1994 年5 月)
[日本盤初出] Deutsche Grammophon POCG1760(1994 年5 月16 日)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
■発売日:2024年9月14日
■品番:ESSG-90297
■仕様:CD/SACDハイブリッド
■JAN:4907034225576
■レーベル:Deutsche Grammophon
■音源提供:ユニバーサルミュージック合同会社
■ジャンル:管弦楽曲
■DSD Mastering
■SACD層:2チャンネル・ステレオ
■美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用
ブーレーズ&ベルリン・フィルの初録音となった記念碑的なラヴェル。世界初Super Audio CD ハイブリッドディスク化。
■過度の感情移入から作品を解き放ち明晰さで勝負する指揮者
ピエール・ブーレーズ(1925-2016)は、20 世紀後半から21 世紀初頭にかけて音楽史及び演奏史に重要かつ個性的な足跡を残したフランスの作曲家・指揮者です。パリ音楽院でメシアンらに学び、セリー形式の作品を作曲し、ダルムシュタット現代音楽講習会で注目を浴びる一方で、指揮者としては1950 年代から現代音楽アンサンブル「ドメーヌ・ミュジカル」を組織して活動を開始。1967 年からジョージ・セルのもとでクリ―ヴランド管弦楽団の首席客演指揮者をつとめ、以後同管音楽アドヴァイザー、ニューヨーク・フィル音楽監督、BBC 響首席指揮者を歴任し、さらに1977 年にはIRCAM(イルカム=フランス国立音響音楽研究所)設立に関わりその初代所長を務めました。ブーレーズが指揮者としての名声を確立したのは、ドビュッシー以降の近代~20 世紀音楽において、過度の感情移入から作品を解き放ち、一つ一つの音に徹底的にこだわり、細部まで緻密かつ明晰な解釈を施すことで整然と立ち現れてくる作品像を提示する手腕によるものといえるでしょう。そして時に冷徹ささえをも感じさせたその演奏解釈を世界の音楽ファンに伝えたのが1966 年に開始され1980 年代初頭まで継続された米CBS への膨大な録音でした。
■1990 年代以降のブーレーズが自らにもたらした20 世紀音楽の擁護者のイメージ
IRCAM 所長を1991 年に辞したブーレーズは、IRCAM 時代に封印していた世界各地のオーケストラへの客演を再開し、時を同じくしてドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、CBS への録音で定評のあったレパートリーを中心に再録音を開始します。ドビュッシー、ラヴェル、新ウィーン楽派、バルトーク、ストラヴィンスキーなどお得意の作曲家の体系的な録音にエネルギッシュに取り組み始め、これまではあまり録音してこなかったマーラーやブルックナー、R.シュトラウスなどの交響曲や管弦楽曲にも目を向けるようになりました。ブーレーズの演奏解釈も、緻密でクリアな音のリアリゼーションはそのままに、70 年代までのCBS 録音の冷厳なとげとげしさに代わって繊細さやふくよかさを体得し、年相応の円熟味や風格を感じさせるものへと変化を遂げていったのです。オーケストラも、IRCAM 所属のアンサンブル・アンテルコンタンポランや1960 年代から密接な関係を持ってきたクリーヴランド管などブーレーズ親派の団体のみならず、首席客演指揮者のタイトルを持つことになるシカゴ交響楽団や、ヨーロッパの2 大名門であるウィーン・フィルとベルリン・フィルが起用され、上述の20 世紀音楽の名作を中心とした新録音を続々と録音・発売していったのです。「円熟の指揮者ブーレーズと欧米の名門オーケストラによる20 世紀音楽の傑作選」というプロジェクト・コンセプトはクラシック音楽ファンやメディアに熱狂的に受け入れられ、録音のリリースと並行して世界各地でのライヴ演奏も行われ、特に75 歳をむかえた1995 年には東京を含む世界各地で大規模なフェスティヴァルが開催されるなど、「20 世紀音楽の擁護者」としてのブーレーズのイメージが改めて世界レベルで再認識されるようになったのでした。
■ベルリン・フィルとの初録音
この新たなプロジェクトの中で、ブーレーズがラヴェル録音に選んだのはベルリン・フィルでした。1950 年代後半に自作を中心に指揮者としての活動を開始したブーレーズは、現代音楽のメッカだったドナウエッシンゲン音楽祭やそこに出演していたバーデン=バーデンを本拠にした南西ドイツ放送響との関わりを深め、ドイツをしばしば訪れるようになります。ブーレーズがベルリンで指揮したのは1957 年9 月のことで、ドメーヌ・ミュジカルのアンサンブルとともに自作の「ル・メルトー・サン・メートル(主のない槌)」などを演奏しています。ベルリン・フィルを初めて指揮したのはもう少し後で、カラヤン時代初期の1961 年1 月にドビュッシーの《イベリア》をメインに、ウェーベルンと自作を取り上げています。その後1960 年代後半から1970 年代にかけては英米のオーケストラのポストを持ち、1980 年代はIRCAM との活動に集中したため、ベルリン・フィルへの客演は途切れてしまいますが、ようやく1993 年3 月に久々の共演が実現して大成功を収め、ドイツ・グラモフォンがその機会を捉えてセッションで録音したのがこのラヴェル・ アルバムでした。組曲ではなくバレエ全曲版による《マ・メール・ロワ》に始まり、《ボレロ》で締めくくられる5 曲はいずれもCBS時代に旧録音があるブーレーズお得意のレパートリー。過度な感情や思い入れを排し、ラヴェルの緻密なオーケストレーションを克明にたどり、それをそのまま実際の音にすることで、作曲家が意図したあらゆるニュアンスが湧き出るように噴出してくるかのような、実にオーセンティックな演奏と表現することもできるでしょう。
Maurice Ravel
バレエ《マ・メール・ロワ》
Ma Mère l'Oye - Ballet
[1] 前奏曲
Prélude (Très lent)
[2] 第1 場:紡ぎ車と踊りと情景
1er Tableau: Danse du rouet et Scène (Allegro)
[3] 第2 場:眠りの森の美女のパヴァーヌ
2e Tableau: Pavane de la Belle au bois dormant (Lent - Allegro - Mouvement de Valse modéré)
[4] 第3 場:美女と野獣の対話
3e Tableau: Les Entretiens de la Belle et de la Bête (Mouvement de Valse modéré)
[5] 第4 場:おやゆび小僧
4e Tableau: Petit Poucet (Très modéré)
[6] 間奏曲
Interlude
[7] 第5 場:パゴドの女王レドロネット
5e Tableau: Laideronnette, Impératrice des pagodes (Mouvement de marche - Allegro - Très modéré)
[8] 終曲:妖精の園
Apothéose: Le Jardin féerique (Lent et grave)
[9] 海原の小舟
Une Barque sur l'océan (Très souple de rythme)
[10] 道化師の朝の歌
Alborada del Gracioso (Assez vif)
スペイン狂詩曲
Rapsodie espagnole
[11] 第1 曲:夜への前奏曲
Prélude à la nuit (Très modéré)
[12] 第2 曲:マラゲーニャ
Malagueña (Assez vif)
[13] 第3 曲:ハバネラ
Habanera (Assez lent et d'un rythme las)
[14] 第4 曲:祭り
Feria (Assez animé)
[15] ボレロ
Boléro (Tempo di Bolero moderato assai)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
Berliner Philharmoniker
指揮:ピエール・ブーレーズ
Conducted by Pierre Boulez
[録音]1993 年3 月18 日~25 日、ベルリン、イエス・キリスト教会
[初出] Deutsche Grammophon 4398592(1994 年5 月)
[日本盤初出] Deutsche Grammophon POCG1760(1994 年5 月16 日)
[オリジナル・レコーディング]
[エクセクティヴ・プロデューサー] ロジャー・ライト
[レコーディング・プロデューサー] カール=アウグスト・ネーグラー
[トーンマイスター(バランス・エンジニア)] ヘルムート・ブルク
[レコーディング・エンジニア] ヨープスト・エーバーハルト、ヴォルフ=ディーター・カルヴァトキー
[エディテイング] イングマール・ハース、ルドガー・ベッケンホフ
[Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CD アソシエイト・プロデューサー] 吉田穣(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 東野真哉(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CD リマスター] 2024 年5 月 エソテリック・マスタリング・センター、「Esoteric Mastering」システム
[解説] 浅里公三 白石美雪
[企画・販売] ティアック株式会社
[企画・協力] 東京電化株式会社