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大橋純子「シルエット・ロマンス」 (CD)
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ステレオサウンドオリジナル Stereo Sound ORIGINALS
大橋純子「シルエット・ロマンス」 (CD)
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■発売日:2015年9月25日
■品番:SSCDR-005
■JANコード:4571177053022
■仕様:CD
■限定生産
■制作:ユニバーサルミュージック合同会社
■企画・販売:株式会社ステレオサウンド
※本タイトルの記録メディアには録音の現場で使われているプロ用のCD-Rを使っています。CD-Rは、一般に、音楽ソフトとして販売されているディスクとは構造や仕様が大きくことなるため、お取り扱いには細心の注意を払っていただきますようお願いいたします。保管には、風通しのよい冷暗所が最適です。また、ディスク信号面、レーベル面ともに水濡れは厳禁。湿った状態で擦りますと、無地レーベル面ばかりか銀素材による反射層まで剥離してしまいます。水滴や汗などが付着した場合は、柔らかい布などで軽く押さえたのち、自然乾燥してください。この際、日光をはじめとする強い光にさらさないようお願いいたします。CD-Rは紫外線を嫌います。また、レーベル面にセロファンテープやステッカー、シールなどを貼らないでください。はがす際、レーベル面や保護層、ひいては反射層が破壊される可能性があります。CD-Rが通常の音楽CDにくらべてデリケートであることをご理解いただき、すばらしい音楽をいつまでもお楽しみいただけますよう、ご配慮をお願いいたします。
1981年フィリップス版アナログマスターと
2014年VAP版デジタルマスターを聴く
1980年前後に学生生活を送った筆者は、当時隆盛を誇っていた都会的な感覚を盛り込んだモダンなソウル・ミュージック、いわゆるブラック・コンテンポラリーを愛聴していた。アナログレコードからカセットテープにコピー、これまた当時一世を風靡していたウォークマンでランディ・ クロフォードやナタリー・コールなどを聴きながら、テニスだスキーだとお気楽な学生生活を送っていたわけである。
そんなある日、テレビの歌番組から思い切りソウルフルな歌声が流れてきて、耳を奪われた。大橋純子&美乃家セントラルステイションの「シンプル・ラブ」(1977年)だった。ぼくが当時好きだった黒人女性歌手たちに共通する大橋の伸びやかな歌声、ミディアム・グルーヴのノリのよさは日本人離れしたもので、いっぺんで好きになったのである。その後、彼女は「たそがれマイ・ラブ」(78年)や「シルエット・ロマンス」(81年)などをヒットさせ、日本の音楽界に確固たる地位を築いていく。昨年、大橋はデビュー40周年を迎えたが、今なお意欲的に音楽活動を続けている。つい先日も「ビルボードライブ東京」での演奏を聴きに行ったが、腕達者なバンドメンバーに支えられ、往時と変わらないソウルフルで伸びやかな歌声を披露し、ぼくを喜ばせたのだった。
さて、ステレオサウンドが愛読者に特別頒布するフラット・トランスファーCD-R最新作は、その大橋純子の「シルエット・ロマンス」だ。石川さゆり、美空ひばり、テレサ・テン作品に続く第11弾である。来生えつこ/来生たかお姉弟が作詞/作曲したこの曲は、第24回(82年)日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞した、長く心に残る名曲だ。今回のCD-Rは、81年にフィリップスから発売されたアナログシングル盤A面のオリジナル版と、デビュー40周年記念CDアルバム「LIVE LIFE」(発売元VAP)のために録音された2014年版の2ヴァージョンがカップリングされている。
では、ユニバーサルミュージックのマスタリングスタジオで行なわれたその制作過程に触れておこう。81年アナログ録音のオリジナル・ヴァージョンは、4分の1インチのマスターテープをスチューダーA820で再生、DCS904で44・1kHz/24ビットにA/Dコンバートし、プリズム・メディア・プロダクツ(英国)のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)SADIE6に直接取り込まれている。
いっぽう2014年版は、96kHz/24ビットのオリジナルマスターWAVファイルをMacPro経由のプロツールスHDI/Oで再生、DCS974で44・1kHz/24ビットにD/Dコンバートし、オリジナル・ヴァージョン同様SADIE6に収められた。
作業に当たったユニバーサルミュージックのスタジオエンジニア吉野謙志氏によれば、L/Rchのレベル偏差のみ聴感で補正、それ以外オリジナルマスターにいっさい手を加えていないという。「どんな再生装置で聴かれるかわからない通常のCDであれば、プアーなオーディオで聴かれることをも想定してロー(低域)をブーストすると思いますが、このCD-Rはステレオサウンド読者を想定したもので、正真正銘のフラットトランスファーです」と吉野さんは言う。
本CD-Rは、従来通りエラーレートが極めて低い太陽誘電製プロ用CD-Rを用いて、記録品質にこだわったプレクスター製CD専用ライターで1枚1枚吉野エンジニアの手で書き込まれている。
仕上がったCD-Rを心踊らせながら自室のオーディオシステムで聴いてみた。オリジナル・ヴァージョンは、2009年にユニバーサルミュージックから発売されたCD「コンプリート・シングル・ベスト」盤と、2014年ヴァージョンはCD「LIVE LIFE」盤と比較しながら、だ。
本CD-Rに収められた2ヴァージョンとも、前述のCDと比較すると音圧レベルが少し低く感じられるが、音量を揃えて聴き比べてみると、CDよりも断然聴き心地がよいことがわかる。オリジナル・ヴァージョンは、本CD-Rのほうがイントロの木管やアクースティックギターがまろやか、鈴の余韻も長く聞こえる。サビで声を張ったところがCDは少し音が硬く耳障りに聴こえるが、本CD-Rはそんな印象はなく、とても伸びやか。彼女の歌の巧さにじっくり浸ることができた。タイトにリズムを刻むドラム&ベースの音もCD-Rのほうが音に切れ味があり、本作の録音がとても優れたものであったことを実感させられる。
2014年版は、ストリングスの厚み、臨場感が本CD-Rのほうが断然豊か。また「止めないで~」と歌われるエンディングの「で~」の余韻がCD-Rのほうが長く聞こえ、33年ぶりにこの歌を吹き込んだ彼女の万感の思いがリアルに伝わってくるのだった。
まさにオーディファイル・クォリティで仕上げられたこのCD-R、ぜひ手塩にかけたご自慢の再生システムでお聴きいただきたい。
(文・山本浩司)
収録曲
シルエット・ロマンス
1981年11月5日発売アナログ録音
アナログシングルA面(B面は「過ぎてきた河」)
レーベル:フィリップス
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:鈴木宏昌
シルエット・ロマンス
2014年6月18日発売デジタル録音
40周年記念CDアルバム「LIVE LIFE」収録曲
レーベル:VAP
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:JMB40
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1981年フィリップス版アナログマスターと
2014年VAP版デジタルマスターを聴く
1980年前後に学生生活を送った筆者は、当時隆盛を誇っていた都会的な感覚を盛り込んだモダンなソウル・ミュージック、いわゆるブラック・コンテンポラリーを愛聴していた。アナログレコードからカセットテープにコピー、これまた当時一世を風靡していたウォークマンでランディ・ クロフォードやナタリー・コールなどを聴きながら、テニスだスキーだとお気楽な学生生活を送っていたわけである。
そんなある日、テレビの歌番組から思い切りソウルフルな歌声が流れてきて、耳を奪われた。大橋純子&美乃家セントラルステイションの「シンプル・ラブ」(1977年)だった。ぼくが当時好きだった黒人女性歌手たちに共通する大橋の伸びやかな歌声、ミディアム・グルーヴのノリのよさは日本人離れしたもので、いっぺんで好きになったのである。その後、彼女は「たそがれマイ・ラブ」(78年)や「シルエット・ロマンス」(81年)などをヒットさせ、日本の音楽界に確固たる地位を築いていく。昨年、大橋はデビュー40周年を迎えたが、今なお意欲的に音楽活動を続けている。つい先日も「ビルボードライブ東京」での演奏を聴きに行ったが、腕達者なバンドメンバーに支えられ、往時と変わらないソウルフルで伸びやかな歌声を披露し、ぼくを喜ばせたのだった。
さて、ステレオサウンドが愛読者に特別頒布するフラット・トランスファーCD-R最新作は、その大橋純子の「シルエット・ロマンス」だ。石川さゆり、美空ひばり、テレサ・テン作品に続く第11弾である。来生えつこ/来生たかお姉弟が作詞/作曲したこの曲は、第24回(82年)日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞した、長く心に残る名曲だ。今回のCD-Rは、81年にフィリップスから発売されたアナログシングル盤A面のオリジナル版と、デビュー40周年記念CDアルバム「LIVE LIFE」(発売元VAP)のために録音された2014年版の2ヴァージョンがカップリングされている。
では、ユニバーサルミュージックのマスタリングスタジオで行なわれたその制作過程に触れておこう。81年アナログ録音のオリジナル・ヴァージョンは、4分の1インチのマスターテープをスチューダーA820で再生、DCS904で44・1kHz/24ビットにA/Dコンバートし、プリズム・メディア・プロダクツ(英国)のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)SADIE6に直接取り込まれている。
いっぽう2014年版は、96kHz/24ビットのオリジナルマスターWAVファイルをMacPro経由のプロツールスHDI/Oで再生、DCS974で44・1kHz/24ビットにD/Dコンバートし、オリジナル・ヴァージョン同様SADIE6に収められた。
作業に当たったユニバーサルミュージックのスタジオエンジニア吉野謙志氏によれば、L/Rchのレベル偏差のみ聴感で補正、それ以外オリジナルマスターにいっさい手を加えていないという。「どんな再生装置で聴かれるかわからない通常のCDであれば、プアーなオーディオで聴かれることをも想定してロー(低域)をブーストすると思いますが、このCD-Rはステレオサウンド読者を想定したもので、正真正銘のフラットトランスファーです」と吉野さんは言う。
本CD-Rは、従来通りエラーレートが極めて低い太陽誘電製プロ用CD-Rを用いて、記録品質にこだわったプレクスター製CD専用ライターで1枚1枚吉野エンジニアの手で書き込まれている。
仕上がったCD-Rを心踊らせながら自室のオーディオシステムで聴いてみた。オリジナル・ヴァージョンは、2009年にユニバーサルミュージックから発売されたCD「コンプリート・シングル・ベスト」盤と、2014年ヴァージョンはCD「LIVE LIFE」盤と比較しながら、だ。
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2014年版は、ストリングスの厚み、臨場感が本CD-Rのほうが断然豊か。また「止めないで~」と歌われるエンディングの「で~」の余韻がCD-Rのほうが長く聞こえ、33年ぶりにこの歌を吹き込んだ彼女の万感の思いがリアルに伝わってくるのだった。
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1981年11月5日発売アナログ録音
アナログシングルA面(B面は「過ぎてきた河」)
レーベル:フィリップス
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:鈴木宏昌
シルエット・ロマンス
2014年6月18日発売デジタル録音
40周年記念CDアルバム「LIVE LIFE」収録曲
レーベル:VAP
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:JMB40