マスタリングを担当したのは、パリで「DES Studio Paris」を主宰するPoussin氏。DSDの扱いにかけてはフランス国内では指折りの実力者と、ユニバーサルミュージック・フランスが太鼓判を押すエンジニアです。ステレオサウンド社からの3つのリクエスト(①アナログテープの扱いに長けている方、②DSD信号の扱いに長けている方、③フランス語特有のアクセントが身体に染みついている方)に加えて、国境を越えるマスターテープの持ち出しを認めないというユニバーサルミュージック側の条件をすべて満たすパーフェクトな人選であり、結果的にそれが間違いではなかったことは完成したディスクの音が証明しているでしょう。
Barbara
■発売日:2019年12月21日
■品番:SSVS-013~014
■仕様:シングルレイヤーSACD+CD・2枚組※
■JAN:4571177051912
※本商品は同一内容の音源を、シングルレイヤーSACDとCDに収めたものです。それぞれ対応プレーヤーで再生ください。
●Stereo Sound ONLINE記事
▶名盤ソフト 聴きどころ紹介12
エディット・ピアフとともにフランスを代表するシャンソン歌手のバルバラ(1930-1997)。オーディオ界では、今は亡き瀬川冬樹氏が愛聴されていたことでも有名です。そのバルバラが1966年12月にパリのボビノ座で行なったリサイタルを収めたのが、本作『Barbara Bobino 1967』。日本では『ボビノ座のバルバラ』の邦題で広く知られている、1967年に旧フランス・フィリップスから発売されたこのアルバム、LP時代では瀬川冬樹氏と柳沢功力氏が、CD時代になってからは和田博巳氏がオーディオ機器の試聴やオーディオショウ等で積極的にデモンストレーションに使ってこられたため、オリジナルフォーマットでのディスクが入手困難な現在であっても、その音を耳にしているオーディオファイルは、世代を問わず大勢いらっしゃることと思われます。
アコーディオンのジョス・パセリとアコースティックベースのミッシェル・ゴードリーという二人の名手が、さりげなく、かつ的確に、ピアノを弾きながら歌うバルバラをサポート。そんな三人がボビノ座の空間で奏でた音楽は、まさにインティメイトという言葉がふさわしいでしょう。
この『ボビノ座のバルバラ』がいよいよステレオサウンド社から、音匠仕様(グリーンレーベルコート)のシングルレイヤーSACD(+同内容のCD)の2枚組で登場いたします。世界初SACD化であることはもちろん、不思議なことに日本盤でのデジタルディスクでの発売は今回が初となります。
マスターとしたのは、フランス・フィリップスを経てユニバーサルミュージック・フランスのテープ保管庫に厳重に保管されていた、初回LPのためのカッティングマスターです。本作には2007年にマーキュリー・レーベル(ユニバーサルミュージック・フランス傘下)より発売された16曲入りヴァージョンのCD(輸入盤のみ)もありますが、広く知られるLPとは編集(や曲順)が異なり作品の印象が大きく変ってしまっているため、今回はあえて10曲にまとめられたオリジナルLPに準じた復刻を行なっています。
マスタリングを担当したのは、パリで「DES Studio Paris」を主宰するPoussin氏。DSDの扱いにかけてはフランス国内では指折りの実力者と、ユニバーサルミュージック・フランスが太鼓判を押すエンジニアです。ステレオサウンド社からの3つのリクエスト(①アナログテープの扱いに長けている方、②DSD信号の扱いに長けている方、③フランス語特有のアクセントが身体に染みついている方)に加えて、国境を越えるマスターテープの持ち出しを認めないというユニバーサルミュージック側の条件をすべて満たすパーフェクトな人選であり、結果的にそれが間違いではなかったことは完成したディスクの音が証明しているでしょう。
事前打合せを含むと数ヵ月におよんだディスカッションの末、マスタリングの手法が決定。テープの保存状態は良好とのことでしたが、ある程度の経年劣化があることを予想して、スチューダーのA80MK2の再生音声をマンレイ・ラボのイコライザーを使ってごくわずかに補正し、デジタル(PCM・192kHz/24bit)化。それをマスターにして、SACD用とCD用のそれぞれに仕上げの別マスタリングを実施した後、ディスク化を行なっています。オリジナルマスターを尊重しつつも、フランスの薫りにあふれたPoussin氏の見事な仕事ぶりをぜひとも、あなたのオーディオシステムで体験ください。
『ボビノ座のバルバラ』をこよなく愛する和田博巳氏の書き下ろしライナーノートも必読です。本盤の音に耳を傾けつつ、このライナーノートをお読みいただければ、なぜ、和田氏がいまでもこのディスクをオーディオ機器の試聴盤として使っているのかがよくわかることでしょう。このブックレットには歌詞対訳ももちろん掲載していますが、対訳は戦後の日本におけるシャンソンの普及にお力を尽くされた音楽評論家の故永田文夫氏が1978年発売の日本盤LPに寄せたものを、ご遺族の許可を得て特別に転載しています。オーディオファイルから愛聴され続けてきた名作が、本盤を愛する多くの方々のご尽力により、「SACD+CD」という音質追求パッケージメディアにて、再び皆さんの前にお目見えします。
マダム
2.PARCE QUE JE T’AIME [3:51]
愛するゆえに
3.A MOURIR POUR MOURIR [3:52]
死にあこがれて(ア・ムリール・プール・ムリール)
4.AU COEUR DE LA NUIT [3:51]
真夜中に
5.Y’AURA DU MONDE [3:20]
私の埋葬式に
6.UNE PETITE CANTATE [2:11]
小さなカンタータ
7.A CHAQUE FOIS [1:44]
愛の語らいにはいつも
8.MA PLUS BELLE HISTOIRE D’AMOUR [5:22]
我が麗しき恋物語
9.LE MAL DE VIVRE [4:00]
孤独のスケッチ
10.LES RAPACES [4:41]
欲ばりども
バルバラ(vo)
ジョス・バセリ(acc)、マイケル・ゴードリー(b)
録音:1966年12月 パリ、ボビノ座(ライブ)
ライナーノート:和田博巳