往年の国産ハイパワー管東芝製6GB8で出力42W。
明るく麗しい音で、ヴィヴィッドに音楽を弾ませる

　Fascination114は、是枝重治氏が『管球王国』114号「マイ・ハンディクラフト」企画で発表した6GB8プッシュプル・モノーラルパワーアンプです。出力管の東芝製6GB8は、国産のヴィンテージ・ハイパワー管として知られるビーム管です。本体シャーシは幅／奥行きが20cmとコンパクトな正方形のプロポーションで、現行製品採用の電源／出力トランスは印象的なホワイト塗装。往年の米国製KT88パワーアンプ、ダイナコMkIIIにも通じる意匠でまとめられ、出力42Wを持つパワーアンプです。

　全体はシンプルな2段増幅回路で、初段とP-K分割型位相反転兼ドライバー段をそれぞれ12AX7の1/2ユニットで構成します。12AX7も東芝製ヴィンテージ管を採用しています。前段部は往年の「アンペレックス回路」で構成し、位相反転段カソードから初段管プレート電圧を供給すると同時に初段管カソードに正帰還を戻すことによって、高い感度を確保しながら音に彩りを加える設計が意図されています。出力段はUL接続・固定バイアス動作。出力端から初段管カソードに20dBのNFBをかけています。電源トランスは春日無線変圧器製、出力トランスは米国EDCOR製採用です。

　是枝氏は、ベリリウム振動板を採用する現代のブックシェルフ型スピーカーをFascination114で鳴らし、「古い英国の大型スピーカーのようにヴィヴィッドに軽々と鳴って、明るく麗しく、細部を明瞭に描く音に満足できた」とコメントしています。音楽が弾んで聴こえたと、是枝氏は製作記に記されました。

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