英国管PX4をチョーク負荷としてμメタルコア出力トランス採用。
高弦が豊かに響き、低弦のユニゾンも部屋の隅々まで吹き渡るよう

　Fascination113は、是枝重治氏が『管球王国』113号「マイ・ハンディクラフト」企画で発表した英国古典管PX4シングル・モノーラルパワーアンプです。キーパーツである出力トランスはμメタルコア採用の英国製現行生産品を搭載。出力管PX4はドーム型のZAERIX製を採用しています。PX4の魅力を引き出す回路設計とパーツ選択が追求され、出力3Wで仕上げられています。

　直流磁化を考慮する必要があるシングル構成用出力トランスとして、高透磁率のμメタルコアを採用する英国SOWTER製を搭載。出力管PX4は出力トランスと同じくSOWTER製の鉄芯チョークコイルで負荷し、プレートロードチョークと出力トランスとは音質を重視したコーネルダブラー製フィルムコンデンサーで結合して直流を遮断します。μメタルコア出力トランスはNFBループ外としています。励振回路は英国管PX4との組合せを考慮して選択した独シーメンス製5極管EF86で構成。電源トランスはトロイダル型4基を搭載し、B電圧、フィラメントおよびヒーター電圧を独立供給しています。

　是枝氏は、Fascination113で1931年登場の英国製パーマネント型スピーカーユニットであるフェランティM1を鳴らして「高弦が甘く豊かに響き、低弦のユニゾンも風が吹き渡るように部屋の隅々まで満たした」と記しています。現代の大型モニタースピーカーB＆W801D4 Signatureと組み合わせた試聴でも、低域まで涼やかで柔和な空気感が浸透した音が聴けました。

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