2ウェイ・システムをマルチアンプ駆動するネットワーク。
WE製トランスはじめ良質なヴィンテージパーツで構成。
ユニットのブランド混成でも溶け合いのいい音を引き出す

　本機「J.C.モリソン方式ネットワーク」は、低域用と高域用の2セットのパワーアンプを使って2ウェイ・スピーカーシステムを構築するためのネットワークです。本機を使用した『管球王国』112号の企画「JBLとアルテック ユニットで2ウェイを構築」試聴取材では、ヴィンテージのアルテック、JBL、ウェストレックス（JBL）の38cm口径ウーファー3種と、アルテックとJBLのドライバー＋ホーン4種のかけ合わせで2ウェイ・システムを組み、ウェスタン・エレクトリック（WE）のパワーアンプ91B（復刻機）と143Aで鳴らして、ユニットのブランド混成でも自然に音が溶け合った見事な表現が聴けました。

　使用にあたって電源は不要で、高域用パワーアンプのスピーカー出力から本機「J.C.モリソン方式ネットワーク」に接続します。ネットワークではハイカット用コンデンサーの両端に1対1のトランスが接続され、トランスからの低域の信号がボリュウムを経由して低域用パワーアンプへ送られます。特許取得の方式で、本機は特許取得者の許可を受けてヴィンテージ・オーディオ専門店ウエスタン サウンド インクが製作しています。

　音質を左右するコンデンサーやトランスなどパーツ類は良質なヴィンテージ品で、コンデンサーは米国製オイルコンデンサーとWEフィルムコンデンサーで容量合わせをし、1対1トランスはWE119タイプ、配線材はWE20GA単線が使われています。低域用の音量コントロールVRは米国メーカーCTS社を採用しています。2ウェイのクロスオーバー周波数500Hz／800Hzの切替えが可能な仕様です。

　『管球王国』112号の取材で組み合わせたユニットは、ウーファーがJBL D130、アルテック803A、ウェストレックスT510A（JBL 150-4C）、ドライバー＋ホーンがアルテック802C＋H811、JBL LE75＋H91、アルテック288B＋1005B、JBL 2440＋2397で、JBL家庭用システムを思わせる味わいから圧倒的なシアタートーンまで、いずれの組合せでも妙味が表れて、低域／高域用パワーアンプの入れ替えによる音作りも有効でした。チャンネルデバイダーとはまた異なる手法でマルチアンプ駆動の可能性を広げるネットワークです。


J.C.モリソン方式ネットワーク（片チャンネル分の1基）を正面から見る。低域用の音量コントロールとクロスオーバー周波数500Hz／800Hzの切替えを装備する。使用にあたって電源は不要で、高域用パワーアンプのスピーカー出力からJ.C.モリソン方式ネットワークに接続。ネットワークではハイカット用コンデンサーの両端に1対1のトランスが接続され、トランスからの低域の信号がボリュウムを経由して低域用パワーアンプへ送られる。


※写真と実機はクロスオーバー周波数切替えスイッチの形状が異なり、実機では上下方向に操作するトグルスイッチとなります。

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